2021年12月20日月曜日

KATOスタンダードS故障の傾向と対策

 フォロワーさんのスタンダードSが故障したとのことで、経験値を上げるために修理を引き受けました。


送ってもらった箱には、馴染みのテープが・・・これからもスタンダードSが活躍している理由がわかります。


裏のゴム足を外してみたら、ネジ穴がありません。よく見たら両面テープが残っていただけで、そのままドライバを差して緩めます。

分解した状態はこちらです。シンプルな回路です。


基板は片面パターン、裏はこんな感じです。
回路図を書いて見ました(ダイオードが逆ですがお許しを、)。左側は製品に添付されているACアダプタのつもりです。スロットルを一番下げた状態でQ1の電圧を測定してみました。(この回路には書き忘れましたが、アダプタとの間に1.25Aのサーキットプロテクタが保護回路として入っています)

C(コレクタ)は14V、E(エミッタ)は12V程度です。B(ベース)は2V程度でしたので、明らかにトランジスタ内部の動作がおかしいと判断しました。また、他の方からも同じような出力異常の事例をきいていますので、偶発的なものではなく回路の構成からなにか原因が隠れている気がします。


さて、部品の交換に入ります。放熱板をとりつけているネジを外します。

トランジスタの足をカットして、こちらの新しいトランジスタに交換します。トランジスタはこちらをつかいました。購入価格は60円です。

放熱板に新しいトランジスタを取り付けます。シリコンゴムの放熱シートを忘れないようにしてください。

基板に部品の足をはんだ付けします。そして機能チェックをおこないました。

こちらが専用アダプタ(AC出力アダプタ)を接続した時の波形です。商用50Hzを両波整流したままの波形になっています。部品交換後に出力を短絡させて試しましたが、問題ありません。

※ 上記D1-D4のダイオード表記が逆になっています。

 

過電流でなければ、過電圧が原因だったかもしれません。また、過電流でサーキットプロテクタが機能したときにモーターなどの負荷のインダクタンスの影響でトランジスタに過電圧が入るような気もしましたので、スイッチングダイオードD5を対策として追加します。


写真の中央、プリント基板トランジスタの近くにSMT部品をはんだ付けしました。この後連続運転で問題ないことを確認して持ち主に返送しようと思いましたが・・・

実は部品変更によってスロットルの特性が変わっていました
DC12Vアダプタ接続で条件を合わせて50%のときの電圧を確認しました。車両は電流多めのTOMIX旧モーターです。

  • オリジナル   3.5V
  • 部品交換後            2.1V

どうやら交換した部品の特性の変化で部品交換後の走り出しが遅くなりました。
  • オリジナル部品BD911のHfe   40-250 (平均して100前後でしょう)
  • 交換後の部品2SC3039のHfe    15-50(平均して30前後でしょう)
さて、オリジナルの部品を取り寄せることも考えたのですが、今回は部品追加で対応しました。



少し専門的な話になりますが、今回は小型トランジスタを1つ追加して、ダーリントン接続にすることでした。部品面にトランジスタと抵抗をいくつか追加して完成です。スロットル中央での電圧も3.5Vと前と同じになり10分ほどの耐久性試験でも問題ありませんでしたので、これで完成とします。